- お刺身の柵とは何か教えて。
- 切り身のお刺身とどちらがお得か知りたい。
- 柵で買うメリットとデメリットが知りたい。
- 柵の切り方や保存方法が知りたい。
- 柵の選び方とアレンジ料理が知りたい。
スーパーで売られているお刺身には、
切られているものと柵の状態があります。
切り身と柵ではどちらがお得なのか、
お刺身好きには重大な問題です。
決して、安い買い物ではないからです。
この記事では
「刺身の柵とは?普通のお刺身とどちらがお得か?」
について詳しく解説します。
最後まで読めば、もうお刺身を買うときに迷いません。
結論から言うと、お刺身は柵で買ったほうがお得です。
割安なだけでなく、切り身より鮮度が落ちにくいからです。
毎日の食卓が少しでも豪華になるように、
お得に美味しいお刺身を手に入れましょう。
柵とはお刺身用に形を整えたもの【柵を買うメリットとデメリット】
柵とは、お刺身を作りやすい形や大きさに、
切り分けたものです。
長方形が多く、タイのように三角形の柵は
「節」と呼ぶこともあります。
魚は身の状態ごとに、呼び方があります。
- 魚1尾…丸
- ウロコ、内蔵、頭を取る…ドレス
- 3枚(5枚)におろす…フィーレ
- 背中とお腹にわける(節取り)…シブイチ(1/4)・ロイン
- 刺身用に形を整える(柵取り)…柵
タイなどの魚体が小さい魚は、シブイチ(ロイン)の状態で
売られることが多いです。
ブリなどで見かける長方形の細長い柵は、
シブイチをさらに柵取りしたものです。
柵取りとは文字通り柵に切り分けていく作業のことで、
お刺身にしやすいように整形しています。
柵と切り身のお刺身ではどちらがお得か
切り身で買うより柵のほうがお得です。
お刺身用に切って盛り付ける手間が、かからないからです。
ネットスーパーで売られているカツオのタタキで、
比べて見ましょう。
- 柵…180gで356円
- お刺身8切…298円(g数は不明)
たいていの飲食店では、お刺身1切れは10~15gが主流です。
カツオは分厚ほうが美味しいので、1切れ15gとします。
(カツオ8切×15g=120g)
- 柵…356÷180=1gあたり1.98円
- お刺身8切…298÷120=1gあたり2.48円
柵のほうが、1gあたり0.5円安くなります。
お刺し身8切を柵で買って自分で切ったとしたら、
1.98円×120g=238円で60円安くなります。
柵のメリット
- 切り身より安く済む。
- 味が落ちにくい。
- 部位を選べる。
お刺身は切れば切るほど、不味くります。
空気に触れる面積や時間が増えるため、
酸化により品質が低下するからです。
包丁が汚れている場合は、細菌が繁殖する可能性もあります。
柵で買えば、切りたての新鮮なお刺身が味わえます。
柵のデメリット
- 自分で切らないといけない。
- 盛り合わせにしづらい。
- 盛り付けが寂しい。
1種類でも毎日お刺身が食べられたら、
刺身好きとしては嬉しい限りです。
盛り付けは工夫しだいで、何とでもなります。
一番のデメリットとは、
自分で切らなければならないことでしょう。
お刺身は切り方で味が変わる料理なので、
正しい切り方を知っておく必要があります。
失敗しない柵の切り方【お刺身がキレイに見えるコツを紹介】
代表的なお刺身の切り方とは
「平造りとそぎ切り」の2種類です。
平造りは、次のようなときに使います。
- 身が厚い柵を切るとき
- 分厚いお刺身を作るとき
- マグロ・カツオ・ブリなど
そぎ切りは、次のようなときに使います。
- 身が薄い柵を切るとき
- 薄造りを作るとき
- タイ・ヒラメ・アジなど
お刺身を切るときは包丁の根元から刃先までを使って、
一気に引いて切るのが基本です。
切り口が鋭利になり、お刺身のカドが立って
キレイに見えるからです。
柵の端っこは切り落として、お刺身の形をそろえやすくします。
もちろん美味しく食べられますし、盛り付けるときに必要です。
平造りの切り方【包丁を外側へ少し傾ける】
マグロ、サーモン、タイの背側などの柵を切るのに向いています。
皮目を上にして「高いほうを奥・低いほうを手前」に置きます。
まな板の手前に置くと、作業がしやすいです。
包丁の根元を柵に当て、45度くらいに包丁を立てます。
少し半身になると、包丁を引きやすいです。
弧を描くように包丁を引きながら、1回で切ります。
切ったら包丁を右側へ送り、切り身を並べていきます。
お刺し身をキレイに見せるコツとは
「包丁の刃を外側へ少し傾ける」こと。
切り口のふちが鋭角になり、並べたときにキレイに見えます。
柵が細い部分は左上から右下へ斜めに切り、
太い部分は真っすぐに切ると、お刺し身の大きさがそろいます。
そぎ切りの切り方【最後に包丁を立てる】
タイの腹側やヒラメなどの柵を切るのに、向いています。
「皮目を下」にして高いほうを奥、低いほうを手前に置きます。
右方上がりに置くと、切りやすいです。
包丁を柵に当て、角度を固定してから左手で柵を押さえます。
包丁の角度を動かさない限り、手を切ることはありません。
包丁の刃がまな板に当るまで引き、
刃が当たったら包丁を90度に立て切り離します。
切ったら左手で切り身を返して、
切り口が上になるように並べます。
キレイに見せるコツとは
「皮1枚を残して包丁を立てる」こと。
皮目にキレイな段差が付き、飾り包丁のようになります。
切り身を重ねて盛り付けると、飾り部分が強調されて
プロが作ったお刺身に見えます。
盛り付け方【余白を均一にする】
ツマは乾燥わかめやキュウリの千切りで、十分代用できます。
飾り付けはレモンやみょうがの千切りなどが、おすすめです。
今回は毎日でも簡単に作れるように、
ツマや大葉を使わない盛り付け方を紹介します。
ぬるいお刺身は美味しくないので、
使うお皿は冷凍庫で冷やしておきましょう。
切り落とした柵の端っこを、ツマの代わりに土台にします。
真ん中よりやや後方に土台を置き、お刺身を立てかけていきます。
切り口のカドや皮目が右側にくるように、
切り身を少しずらしながら3~5切ずつ並べます。
1列目は5~7切、2列目は3~5切と、
手前にいくほど少なくします。
キレイに見せるコツとは
「上下左右の余白を均一にする」こと。
やや後に土台を配置したのは、
手前までお刺身が並んでも余白をキープするためです。
土台の部分が一番高く、余白に向かってなだらかに盛り付けると
キレイに見えます。
右手前にわさびや薬味をあしらえて、
家庭で作れるお刺身の完成です。
鮮度を保つ柵の保存方法【翌日も美味しく食べられるコツを紹介】
お刺身の柵を上手に保存するコツとは「塩締め」です。
保存する前に塩を振って、魚の余分な水分を抜きます。
魚の水分は、腐敗や臭みの原因になるからです。
塩締めをしたお刺身は水分が抜けたぶん、
うま味成分が凝縮されもっちりした食感になります。
塩締めの手順
冷凍の柵は完全に解凍しておきます。
塩焼きより少し多めの塩を、均一に振ります。
身が厚い部分を中心よりに、薄いほうを外側へ向けて置きます。
厚い部分は多め、薄い部分は少なめにします。
太いほうを下にして、
柵が滑り落ちない程度に角度をつけます。
サーモンやマグロなどの分厚い柵は30分、
タイやヒラメなどの薄い柵は15分が目安です。
(腹側のさらに薄い柵は7~8分)
指でなぞって味見をし、塩味がなくなるまで拭きます。
柵の繊維に沿って拭くと、取れやすいです。
ラップを敷くと柵がバットにくっ付きません。
30分以上は冷やしましょう。
保存する場合は、7の工程は必要ありません。
柵の保存方法
お刺身に適した保存方法は、次の2つです。
- 塩締めしてから冷蔵
- 下味を付けてから冷凍
柵の表面に浮いてくる水分は、しっかり拭き取ります。
腐敗や冷凍焼けの原因になるからです。
水分を拭き取ったら柵をキッチンペーパーで包み、
ラップを巻きます。
冷蔵庫内のなるべく低温の場所で、保存してください。
お刺身の保存に適した温度は、-1~2℃が理想です。
冷凍する場合は、調味料に漬け込むのがおすすめです。
調味液が柵をコーティングするので、
乾燥や酸化を防ぎ鮮度をキープできるからです。
漬けやマリネにして、
調味液ごと保存袋に入れて空気を抜きます。
薄く広げたら金属製のバットに乗せて、急速冷凍します。
流水か冷蔵解凍でそのまま食べられて、
1週間ほど保存可能です。
可能ですが、おすすめしません。
理由は3つです。
- 生魚の柵や切り身は乾燥しやすい。
- ドリップなどの水分が出やすい。
- 魚は繊維がもろく身崩れしやすい。
水分が出るため冷凍焼けしやすく、
解凍時に身がボロボロになる恐れがあります。
新鮮なお刺身の柵の選び方【スーパーで見るべき3つのポイント】
お刺身の柵を選ぶときは、蛍光灯から離して見るのがコツです。
光の加減で柵の色などが、正確に判別できないからです。
見るべきポイントは3つあります。
- ドリップ
- 血合いの色
- 柵の形(部位)
ドリップ
パック内に色の付いた水分が出ている柵やお刺身は、
鮮度が落ちている証拠です。
ドリップと呼ばれる液体で、
タンパク質やうま味成分を含んでいます。
ドリップが出ている柵は旨みが抜けているだけでなく、
細菌が繁殖しやすい環境が整っています。
血合いの色
新鮮な柵やお刺身は、血合いの色が鮮やかでキレイです。
鮮度が落ちてくると、黒ずんで生臭くなります。
とくにブリ系や生カツオは、ほぼ血合いで判断できます。
マグロやサーモンなど血合いが見えない柵は、
身の色が鮮やかなものを選びましょう。
柵の形(部位)
柵の形で、ある程度どこの部位か判別できます。
- 幅が広い…頭(カマ)に近い部位
- 柵が三角形…尻尾に近い部位
- 厚い部分と薄い部分がある…腹側
- 全体的に分厚い…背中側
頭(カマ)に近い部位や腹側は脂が多く、
尻尾に近い部位や背中側は身に弾力があります。
柵はグラム単位で売られているため、
身の量が少ない尻尾付近や腹側は柵が大きくなります。
柵の大きさだけで判断して、
筋だらけの尻尾を選ばないようにしましょう。
タイの柵はシブイチ(節)で売られていることが多いので、
頭か尻尾かを気にする必要はありません。
腹側か背中側で選ぶとよいでしょう。
背中側のほうが、たくさんお刺身が取れます。
柵ならではのアレンジ方法【一味違うお刺身が味わえる調理法3選】
切られていない柵だからこそできる、
お刺身のアレンジ方法を紹介します。
漬け込む
コツは柵を軽く茹でることです(霜降り)。
表面の汚れや臭みを洗い流せるので、
漬け込んだときに雑味が混じりません。
熱湯にくぐらせることで表面が固まり、
調味料が入りすぎるのを防ぎます。
マグロやカツオの柵におすすめ。
柵の表面が白くなったら完了です。
粗熱が取れたら、キッチンペーパーで水気を
しっかり拭き取ります。
「醤油1:酒1:みりん1」で作った調味液に、
柵ごと漬け込みます(半日~1日)。
調味液は1度沸かしてアルコールを飛ばしておくと、
子供でも安心して食べられます。
お茶漬けにも合いますが、漬け丼の卵黄乗せが抜群です。
漬け汁ごと冷凍すれば、冷凍保存もできます。
炙る(タタキ風)
脂が多い魚や部位におすすめの調理法です。
加熱することで、柵の中心部にある脂を引き出します。
上記で紹介した塩締めをしている場合は、
この工程は必要ありません。
高温・短時間で表面だけ焼くため、
フライパンをしっかり温めます。
中まで火が入らないように、短時間で焼き目だけを付けます。
柵の厚みによって、加熱時間は調整してください。
焼きすぎると、柵がボロボロになるので注意しましょう。
昆布締め
タイやヒラメなど、白身魚の定番アレンジです。
柵に塩締めをするときに、同時進行すると効率的です。
水分が抜けたところに、昆布の旨みが入っていきます。
昆布は柵より大きく、なるべく平らなものを使います。
塩締め済みの場合は、必要ありません。
臭みを抑えるのと、昆布をやわらかくするためです。
柵を挟んだらラップでピッタリと包みます。
短時間で旨みを移すため、バットや平皿で重石を乗せます。
2日目以降に昆布を取り外し、食べる分だけお刺身に切ります。
3~4日は日持ちしますが、
締めすぎるとかたくなるので注意しましょう。
【お刺身の柵とは】まとめ
柵とはお刺身に切りやすいように、
大きさや形を整えた切り身のことです。
長方形の柵が多く、半身を背と腹にわけたものは
節と呼ぶ場合があります。
背を雄節(おぶし)、腹を雌節(めぶし)と呼びます。
お刺身を柵で買うメリットとデメリットは、下記のとおりです。
柵のメリット
- 切り身より安く済む
- 味が落ちにくい
- 部位を選べる
柵のデメリット
- 自分で切らないといけない
- 盛り合わせにしづらい
- 盛り付けが寂しい
盛り合わせにしたいときは、
日持ちするネタを組み合わせましょう。
2食分のお刺身盛り合わせが作れるからです。
スーパーで売られているタコのお刺身は、
一度ボイルしているので柵(足)の状態でも3日ほど持ちます。
冷凍カツオのタタキを、半分ずつ使うのもアリです。
柵の切り方やお刺身の盛り付け方は、この記事を参考にしてください。
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